ミラボー伯爵

ミラボー

 何度もどこかでお目にかかる・・というか、フランス革命に関連する人物で、ある意味、絶対にハズせない御仁ではあります。
 オノレ・ガブリエル・ド・リケティなんて長ったらしい名前より、ミラボーで通じる人です。
 もともとは侯爵家の子息ながら、跡取りでなかったことからか、自由気ままで、多額の借金や放蕩などで名を馳せ、父ミラボー侯爵によって何度も塔や城に監禁された・・というのですが、これが、まあ、水も滴るような美男ででもあれば、頽廃的なドラマの主人公で、芝居や小説になっていたかもしれない。ですが、それなら、そこで終わりなんです。
 彼はそんな器に収まらない人物で、まず、一度見たら忘れられないという強烈な風貌。
 大きな顔に存在感のある鼻。ギョロっとした目にぎゅっと引き結んだ口。幼少に罹った疱瘡あとの黒い斑点が顔中に散らばる。
 彼の風貌が醜かったために実父に嫌われたという説もあるくらいで、後に、実力者であったにもかかわらず、マリーアントワネットに嫌われ、御目通りもかなわなかったというのも、この顔のせいとか。
 でも、同じ理由で、ルイ16世には好かれたのかも? だって、王妃に近づく美男なんて願い下げでしょう?
 このような風貌でも、女性には絶大な人気があって、それ輪をかけて男性に人気者。
 どこかカリスマ的な「人たらし」みたいな才能があったんでしょうねえ。
 そういうミラボーの魅力は「小説フランス革命」(佐藤賢一・集英社文庫こっちにちょっと書いてます)で語られるんですね。
 本当に、これに出てくるミラボーは、カッコいい。
 もしも、彼がもう少し生きていたら・・とか、病気にならなければ・・なんて思わせるのも、まあ佐藤さんの筆力でしょうけど、本当にミラボーなら、フランス革命を安全に着地させられたかも・・って思わせるのは「死せる英雄」だからでしょうねえ。
 のちに、秘密文書が発見されてその名声は地に落ち、パンテオンの遺体は引きずり出されてゴミ捨て場に捨てられたということですが、それもまた、この英雄の運命としてはドラマチックじゃあないですか。
 絵柄はグロいながら「ナポレオンー獅子の時代」(長谷川哲也)に登場したその場面で、ゴミ捨て場のミラボーの骨が笑っているようだ・・というのはある意味当を得ているかも。
 で、そのミラボーの肖像画なんですが(巨人の沢村に似ている・・というウワサはともかく)、たいていは、かなり美化しているハズなのですが、したたかそうな大きな顔を前面に押し出すタイプです。
 ところが、かのダヴィッドが、下絵ながら、かなり「美男」のミラボーの横顔を描いているんですね。
 ダヴィッドといえば、勿論「マラーの死」で有名です。
 思想や演説はともかく、その風貌は、ラクダみたいなブサイクな顔で、しかも全身皮膚病で汚い男と評判のマラーを、まるでピエタのキリストのように美化した。
 このダヴィッドの筆にかかれば、あばた面で、首に瘤取りじいさんみたいな大きな瘤があり、小太りのミラボーが、すっきりしている。
 身体は後ろ姿にして、黒いコートの襟もとにクラバットもりもりで首元を誤魔化し、やや上向きの突き出した頤やら太い首が完全に隠れてる。さすがですねえ。
 ダヴィッドの絵は、芝居がかったポーズをして上を向き、手を上に上げているんで、死の床に横たわる・・というイメージに変換してみました。この方で1980人目になりました。
2015-07-25
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