草香幡梭姫皇女

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草香幡梭姫皇女

草香幡梭姫皇女(くさかはたひひめのひめみこ)。
 名前を読むだけでもややこしいのですが、この人のことについては、pixivで、朝倉の宮と題するイラストで、有る小説を知りました。
大正14年に書かれて、天皇家を題材にしていたために発表できず、70年の時を経て活字化されたといういわくつきの小説「眉輪」(野溝七生子 展望社)です。
  これは読まねばなるまいと読んだのですが、これに登場する大草香王女がこの人です。
 日下部氏というのが、彼女のために設けられていた部の民であるということと、この部が軍事集団ではなかったか・・ということなどから着想されて造形されたのではないかと思うこの女性は、荒々しく馬を乗りこなし、気性が激しく、芯が強くて美しい姫ということになっています。
 仁徳天皇の娘で、大草香王子の妹。
当時この一家のあるじであった兄は、甥にあたる安康天皇から、皇弟の大泊瀬王子の妃に、妹姫をどうかという申し入れを受け、喜んで承諾し、家宝の押木玉蔓を皇子への贈り物として使者に託しまいした。
 ところが、その使者がこの宝物に目がくらみ、自分がほしくなってねこばば。天皇には「大草香王子は、求婚を蹴ったばかりでなく、天皇を侮辱しました」と報告。
怒った天皇がこの一家を討伐。まさか反逆の汚名を着せられているとは知らぬまま、大草香王子は死に、一族の女子供は捕えられます。
 そして、あろうことか、天皇は大草香王子の妻を奪い、妹の草香幡梭姫は、弟の大泊瀬皇子にやってしまうのです。
 本来ならば、ちゃんと手続きを踏んで、婚約し、輿入れ(古代では婿入りですから男が通ってくるんですが)のはずだったその当の相手に、まるで戦利品のように略奪されて妻にされた姫は、そのプライドをいたく傷つけられる。
 天皇のほうは、その奪った妃の先夫の子である眉輪王が幼いながらもハムレットするドラマがありますが、この小説では妹の若草香王女(こういう表記です)のほうにヒロインが割り振られています。
 これがなかなかで、決して打ち解けない猫のようなきっつい姫。
略奪とはいいながら、彼女にちゃんとふりむいてほしい大長谷王子(大泊瀬皇子をこう書いています)。
しかし、乱暴で粗雑な性格の彼は、女性をどうあつかってよいかわからないので、心が自分のものにならないまま悶々としている・・まあ・・そんなドラマで、結局は、眉輪王の事件後、即位する弟大長谷王子と、この略奪された姫との関係は、少しはマシになるのかしら・・というところで終わっています。
 記録上は、この草香幡梭姫皇女は、雄略天皇の皇后ということになっていますから、第一の妻であったことは確かなんでしょうが。
 野溝七生子の小説は、日本古代が舞台なのに、ギリシャ神話かシェークスピアか・・という雰囲気を漂わせていますので、ギリシャっぽい・・というか、トロイのアンドロマケ風のイメージで描いてみましたが・・・どうでしょうか。
 眉輪・野溝七生子
2013-06-08
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