書を読む少年

書を読む少年

 復古大和絵と言えば、冷泉為恭ですが、彼の王朝趣味は、黄金の霞の彼方に点々と浮かび上がる、非現実的な美しさの王朝世界です。
 実際に彼自身は、幕末の人ですから、王朝文化の盛んな時代に暮らしていたわけではないのですが、ひたすら古き良き時代にあこがれ、自身の筆でそれを描き出す・・ということを使命としていたようです。
 そんな彼の絵のなかに、いかに王朝風とはいえ、やはり江戸時代という文化的に成熟しきった時代なんだなと思わせる部分に、「見立て」というようなものがある気がします。
 というのも、江戸時代には、今のマンガにあるようなキャラの女性化だとか、時代変換だとかはお芝居やら小説、勿論、絵描きもやっていたことです。
 戦国武将のイケメン化だとか、水滸伝の英雄たちを女性化するだとかいうのも、すでに江戸時代にはありですから。
 冷泉為恭も、王朝風の絵を描きながら、鯛をつる恵比寿を、華麗な狩衣を着た若い貴公子に置き換えたりしています。
 そして中国では古来、士人の教養とされる琴棋書画をたしなむ図を描いていますが、これも髭のはえた立派な大人の士人の姿ではなく、少年化しているのです。
 彼は、美青年や美少年が好きだったのか・・というより、まあ、おっさんの絵より、描いていて楽しいかも。
 その書を読む少年は、小葵紋の狩衣に亀甲地に浮線綾の指貫といった高貴な紋様の衣装を身に着け、のほほんとした顔つきで、いかにも育ちがよさそうなほやっとした雰囲気です。
 書籍が入っていると思しき漆の箱は、桜の蒔絵があるといった上等そうな物です。
 有職故実に詳しかったという冷泉為恭は、特に衣装の柄に凝ったそうですので、私風に描いてみました。
2013-04-23
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