梅信女(ラ・ヴォワザン)

梅信女(ラ・ヴォワザン)

 先日来、黒岩涙香「鉄仮面・正史実録」を、近所の「大書庫」で見つけ、その優雅なる文体と、時代を感じさせるなかなかの情感的な文章にしばしハマっておりました。
 こまかいルビもなかなか趣がありますし、何より、かにより、今ではおなじみになった西洋人の名前が「和名」になっていることが面白い。
 明治26年代というから、当時の日本人には、物語の主人公についても、フランス人の名前に違和感を覚えたのでしょう、「鉄仮面」モリス・デザルモアース有藻守雄(あるももりお)は、やや苦しいですが、ルイ14世の愛人ラ・ヴァリエール玻璃英嬢(はりえ嬢)というのは、なかなかによくできています。
 ずいぶん昔に翻訳物のボアゴベの「鉄仮面」は読んだのたけれど、世にも恐ろしい白寝台くらいしか記憶にない状態で、涙香は、なかなかに読みごたえがありました。
 なんてったって、文章が面白い!
 で、主役は、一応?鉄仮面なんですが、彼を脱獄させようとする、妻のヴァンダ(これは翻訳のしようがないのか、女編に兮で、ばん。だは陀)と、その協力者と言っていいのかどうか、まあ身分の高い人ですから気まぐれですが、オリンピア・マンチーニことオランプ夫人。彼女が織部夫人という優雅な名前で登場。
 それに、いかがわしい女毒薬使い(かのエグジリの一番弟子というふれこみの)ラ・ヴォワザンことカトリーヌ。モーヴォワザン。貴婦人や王侯貴族にまでひそかな顧客があったとか。彼女が重要な役割で、これこそ涙香の工夫を思われる一方の女主人公。
 彼女が梅信女(ばいしんにょ)です。この呼び方では、なにやら尼さんみたいですが、なかなかの女策士。
 とても魅力的で、最後は火刑を生き延び、名前を変えてパルマ王国の王妃にまでなってしまうというとんでもないラストはなかなか痛快です。
 いやあ、まさしく冒険活劇ですね・・こういうのが。
 明治26年版の挿絵は、いかにも文明開化の時代風で、なかなか面白い。絵師は多分藤原信一という人物のようですが詳細はのちほど。 
 私風に、ラ・ヴォワザン。ホンモノの彼女は、火刑になっています。
2012-06-26
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