狭穂姫

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狭穂姫

  狭穂姫(さほひめ)は、日子坐王の娘で、垂仁天皇の皇后であったとされる人です。
 実家に里下がりしている時に、実兄の狭穂彦が、「お前は、兄の私と、夫の天皇と、どちらが愛おしいと思うか?」という質問をします。「勿論、兄さんだわ」と返答すると、「わかった。まだ若くて美しい間はよいが、天皇の寵愛が衰えると、すぐにほかの女が現れる。しかし、私が天皇の位に上ったなら、お前は実の妹だから、二人して天下に君臨しよう」と誘います。
 そして、兄は妹に短刀を渡し、天皇が熟睡している時に首を刺して殺せと言います。
 これって、意味深ですよね・・って。別に兄妹で怪しいとかそういう下世話なものではなく、卑弥呼の逆を行くような話じゃないです?
 祭祀女王としての王族の女と、その実の兄弟の統治・・。
 夫の垂仁天皇は従兄弟にあたるのですから、ともに開化天皇の孫同志。皇位継承権はあると主張しているのですね。
 しかし、兄に天皇暗殺を頼まれた狭穂姫は、宮中に戻っても、彼女を信頼し、安心しきって、膝枕で眠る夫の顔を見ては、とても実行できず、はらはらと涙するばかり。そしてとうとう兄の計画を話してしまうのです。
 しかし、自分のせいで追われる立場となった兄を捨てることもできず、逃げ出して兄のもとに戻ってしまい、二人は追い詰められます。
 天皇は、どうしても姫を取り戻したいので、姫の赤ん坊を受け取りに行く口実で、部下に、手なり服なりとらえたら、ひぱって来て子供もろともに奪い返せと命じます。
 ところが、自ら館に火を放った兄妹は、覚悟を決めていて、赤ん坊を兵士に渡す際、姫は、手玉の紐や、衣服を腐らせて、髪をそり、鬘にしていて、兵士が衣服を引っ張ると、袖がちぎれ、髪をとらえると髪がすっぽり抜け落ち、手玉も紐が切れ、炎の中に飛び込んで、兄妹は壮絶な死を遂げたという物語です。
 私は、兄も夫も愛しているのに、どうして争うのかしら・・と涙がとどまらない・・という狭穂姫です。
2012-02-06
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