ナスタジオとパオラ

botti

  ボッティチェリが描く4連作の絵画ドラマ「ナスタジオ・デリ・オネスティ(正直者のナスタジオ)の物語」は、その不可解にも納得できない内容と、絵画の美しさであちこちでお目にかかります。
 モトネタは「デカメロン」の中にある物語の一つです。「正義の残忍性により、熱烈な青年の恋が報われるお話」というタイトルがついていました。

 高貴な家柄の令嬢で、美人で高慢なパオラに恋してしまったナスタジオは、鼻もひっかけてもらえません。
 それでも、裕福な商人だった父や叔父から受け継いだ財産で、高価な贈り物をしたりして、すっかり散財し、破産寸前。
 それよりも何よりも、精神的にすっかり落ち込んで、このままでは自殺もしかねない。
 心配した友人たちが、旅でもしてこの町を離れろとすすめるので、ナスタジオは郊外の森で天幕を張ってしばらく静養することにします。
 心楽しまぬまま森を散策していて、出会ったのが、ぶっとぶような出来事。
 丸腰・・どころか、服もなく、すっぱだかの女性を、まるで、鹿か猪のように、犬を放って駆り立てる騎士。
 そして、追いつかれた女性は犬に襲われ、倒れたところを、騎士は剣で刺殺します。
 さらにその裸身を切り裂いて、内臓をえぐり出し、犬に投げ与えて食わせるという恐ろしさ! 
 ひええ~!と恐れおののくナスタジオに、騎士は「驚きももっともだが、聞いてくれ。我々は罰を受けているのだ」と説明をはじめます。
 もちろん、ナスタジオは聞きますとも・・怖くて腰が抜けて逃げることなんかできませんって。
 この二人は死者で、しかも、ナスタジオは覚えていないけれど、子供のころの知り合い・・らしい。
 どうやら、騎士は生前、この女性に恋い焦がれたのだが、残酷にあしらわれ、思い余って自殺をしてしまったのに、彼女はそれを嘲笑ったらしい。
 で、死後、彼は自殺の罪で、彼女は生前の残酷さと、自殺者を嘲笑った罪で、彼らは、金曜日ごとに蘇って、何度も殺し殺されなければならないのだ・・というのですね。
 内臓を抜かれたはずの女性は、無傷になって甦り、再び逃げ回り、騎士と犬がまた追いかけはじめるのです。
  これを聞いたナスタジオは、はたと思い当たる。「そうだ・・この光景を彼女に見せよう! もしかしたら、気持ちを変えるかもしれない!」と思い付き、金曜日に、この森に会場を設け、友人たちや、彼女や両親、その親せきなど一族の人も大勢招いて、大宴会を催します(まだまだ、金持ちなんですよ)。
 そして、宴たけなわの折、宴会場のすぐそばで、例の死霊の盆踊り・・いや、死霊の追いかけっこが始まります。
 御客たちは驚くまいことか、会場は悲鳴と怒号の中で、ナスタジオは騎士に代わって説明し、客の目の前で死者たちの残酷劇は、今日も滞りなく行われます。
  しかも、年配の客たちの中には、騎士や裸の女性の知り合いや親族もいたのですから、嘆き悲しむことこのうえありません。
 これを見ていたパオラは、恐れおののき、ナスタジオに詫びを入れ、彼の結婚の申し込みを受け入れて、めでたしめでたし・・・え?  これって脅しでしょう? 女の子を心霊スポットで怖がらせて、モノにするなんてサイテー男じゃないです? そんな根性だから嫌われるのよ。でも、当時はこれでよかったの・・?
 しかも、このボッチチェリの連作は、新婚夫婦のお祝い画で、寝室の壁画だったって・・どういう神経してるんでしょう・・という現代人の素朴な疑問があるので、色々なところで取り上げられています。
怖い絵
もうひとつのルネサンス (平凡社ライブラリー)
システィーナ・スカル  
2011-10-04
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

乱読F

Author:乱読F
歴史上の人物を沢山描きたい・・。
実在・架空2000人描き

アルバム
最新記事
検索フォーム
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
カウンター
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる