ガートルードとクローディアス

ハムレット異聞

 ガートルードは、シェークスピアの「ハムレット」の母親です。
 ハムレットは父親のあだ討ちをするために、芝居をしていて、心配する実母を、「あなたは獣だ」というような非難を受けて悲しみます。なんという、かわいげのない息子だろうと思える場面ですが、物語の構成上、母は、父親(つまり夫)を殺した仇と夫婦であるというのを「悪」とみなしているわけですね。
 どうにも、母親の立場からすればやりきれないのですが、ジョン・アップダイクの小説「ガートルードとクローディアス」は、この母親を主人公とした思いきった設定です。

 デンマーク王の跡取り娘であったガートルードは、勇猛なバイキング?の金髪のハムレットを婿に迎えます。
 いかにも、勇猛な巨漢である彼は、斧でもって敵の首をいくつもぶった切るほどの腕力の大男で、理想の闘う王です。
 しかし、彼女は結婚前から、この英雄ハムレットの弟のクローディアスを、少女らしい感性で好もしく思っていました。弟のほうは体育会系の兄と違って、華奢ですらりとした文学青年です・・というお話。
 政略ですから、実父の意向もあって、王にふさわしい兄と結婚し、まわりからは理想の夫と思われ、息子にも恵まれ(父と同じくハムレットと名づけられます)幸福な王妃・・のはず。
 しかし、彼女の結婚後、しばしば外国に出かけていた弟のクローディアスは、南方で古代遺跡を見たり、異教徒と戦ったりして、戻ってきては珍しい話を披露し、南国風の垢抜けたファッションで、宮廷では人気の王弟となります。
 王は、近隣国との戦いに明け暮れて、しばしば城を離れ、妻にかまわなくなり、もともと繊細さに欠けていますから、このような、洗練されたクローディアスはますますとても魅力的になってきます。
 そして、彼も兄の妻となる前より、彼女のことを思っていて、今も変わらず、故に独身を続けているのです。
 かくして、二人は「不倫」に至り、ついにはクローディアスは、王を暗殺して、兄の後釜として、ガートルードのを夫となり王位に就くのです。
 色々回り道をしたけれど、ガートルードは中年になって、やっと初恋の人と結ばれて、「さあ、王妃よ・・皆が待っているぞ」と城の大宴会に出かけるところでこの小説は終わります。
 あとは、シェークスピアの悲劇につながるのですが、これがなかなか面白かった。
 女性の・・それも、王国と言う財産を背負っている女性を主人公してみると、ハムレット(息子)の悲劇がよくわかる。
 息子は父ほど偉大な戦士にはなれず、芝居や文学好きで旅がしたい・・どちらかと言うと叔父に近いのですが、故に、叔父が嫌い・・いや、母親が叔父を好いているから嫌いなのか・・。
 父は生きている時は煙たいけれど、死ねば理想の父となって、母を恨む・・だからこそ・・あだ討ち・・・。
 いや~・・なかなか面白いですよ。 
 ちょっと古風にバイキング風の衣裳にしてみました。背景がバロック風なのは・・ご愛嬌です・・。
2009-12-09
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