翠翠

翠翠

 もうひとつ剪燈新話です(せんとうしんわ・・つまり明かりの穂先を剪って、まだまだ火をともして夜通し語る、興味深い新しい話・・という意味でしょう)。
 元の終わりごろ、劉という金持ちに翠翠という娘がいましたが、とても賢い子供なので、本人も勉強をしたがったので、両親は塾に通わせました。塾の同級生で金定という、これまた聡明な少年がいて、二人はよい友達になり、いつしか幼い恋に発展しましたが、彼女は強気で、「祝英台は、はっきりっ言わないからだめなのよ」と堂々としていました。
 年頃になって結婚話が出てきても、彼女は「金君じゃなきゃ、いや!」を押し通し、「でもあちらは貧乏だし、家柄もつりあわないし・・」などと言っていた両親も、ついに折れて二人はめでたく結ばれました。
 悲劇のドラマは、ここから始まります。幸せな新婚生活を送っていた二人ですが、地域が戦乱に巻き込まれ、翠翠は集落を襲った軍隊にさらわれ、李将軍という人の妾にされます。やがて戦乱が治まって、往来も出来るようになったので、夫の金定は、妻を捜す旅に出て大変な辛苦を舐めて放浪。そしてついに、羽振りのよい李将軍の元にいるという情報をつかみ、たづねて行き、「郷里の兄で、妹がこちらにいると聞いた」と名乗ります。
 単純でおおような軍人の李将軍は、二人を会わせてくれ、兄妹だと信じて「お前の妹は賢くて字が読めるが、その兄なら、字が書けるだろう」と、書記に雇います。
 以後、二人は同じ屋敷に住みながら、真実を明かせぬ苦しい生活。金定は、着物の衿の中に、詩文を縫いこみ、繕い物を妹に頼むということで、詩のやり取りをします。
 そうこうするうちに重い病にかかった金定は危篤になり、将軍のはからいで、病床にかけつけた翠翠の腕の中で死にます。
 以後、涙に暮れて、生きる希望を失くした翠翠も、後を追うように空しくなりますが、死に際に兄と並べて葬って欲しいという願いがかなえられ、二人の墓が並んでいる・・という悲劇です(う~ん・・同じ死ぬなら二人で駆け落ちするとか、イチかバチかをやってはどうか・・なんてのは、マンガチックで、あくまで真面目で良識のある二人なんでしょうね)。
 が・・これまた後日談があり、時が移り、明の時代になって、翠翠の家の番頭が旅の途中に、かつて李将軍がいたところを通りかかると、立派な屋敷があり、翠翠と金定が楽しげに暮らしていた・・というものです。牡丹灯記のように祟りをするでもなく、地獄に落とされることもなく・・・幸せになったのでしょうね。
2009-03-09
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