余忠

李忠

 京劇の題目にある「狸猫換太子」の物語は、名裁判官包公の物語と微妙にからまっていて、三侠五義(またです!)の第一回にあたりますが、宋の仁宗皇帝の波乱万丈の出生譚です。
 先代の真宗皇帝にはまだ世継ぎがなかったところ、李氏、劉氏の2人の妃がともに身ごもったので、皇帝陛下は、嬉しさのあまり、2人のうち太子を産んだもの(つまり先に男の子を産んだもの)を皇后にしよう、とのたまった。かくして劉、李の二妃の間にただならぬ火花が散るのは必定。男性はどうしてそういうことに気が回らないんでしょうね。
 先に産気づいたのは李妃ですが、あせった劉妃は、陰謀をめぐらし、この際、李妃を母子ともに葬り去ろうと計画。宦官や侍女を使って、あらかじめ猫!の死体の皮をはいだものを用意します。すわ赤子(勿論男の子)が生れ落ちるや、料理を運ぶ入れ物を使って猫と子供と入れ替え、あはれ李妃は「化け物を産んだ」ということで幽閉されてしまいますが、赤ん坊の皇子は「正義の」宦官と侍女の機転でこっそり逃れて八親王(皇帝の弟)の子供として育てられます。
 そして劉妃は、おくればせながらめでたく皇子を産み、皇后になり太子の母となりますが、この皇子が6歳で死んでしまうのです。そこで皇帝は、弟の八親王の三男が太子と同い年なので養子にして太子に立てます(これが李妃が産んだ皇子で、因果が巡るのですねえ。正義は必ず勝つのだ!と言っているみたいです)。
 ところがしかし、悪女はメゲない。劉皇后は、いまだ幽閉の李妃が自分に取って代わることを怖れ、彼女が帝を呪詛していると讒言。不幸の星の下に生まれたのか、ついに李氏は死を賜るのです。
 ここで、やっと余忠の登場。無実で、本当は太子の生母である李妃の境遇に同情した忠義の宦官が、またしても彼女を救う。若い宦官で李妃に瓜二つの余忠は身代わりに自死し、妃は宮中を脱出するのです。彼女が実子と再会してあだ討ちをするのは後の物語。
 しつこくあらすじを書きましたが、宦官といえば三国志の十常侍みたいにブキミな雰囲気と思いがちですが、この物語には、忠義で熱い正義の宦官が何人も出てきます。宮女たちとも連携プレーで闘うのです。これから身代わりに死ぬために女装をしている宦官余忠を描いてみました。男でも女でもない宦官は「容貌」で選ばれたといいますから、若い時は美女のようであったのでしょう。
 三侠五義は、平凡社の古典文学大系に入っていますが、あらすじや、山場を紹介しているサイトがありますので、興味のある方はのぞいて見て下さい。
 金鳥工房の簡明古典小説。
 三侠五義
2008-10-06
2008-10-06
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