イサベラとバジルの壺

イザベラ

 世紀末芸術・・という言葉は、退廃と背徳、幻想と怪奇などを思わせるのですが、19世紀に流行した物語に「イザベラとバジルの壺(あるいは鉢)」というのがあります。
 もとになったのは、ボッカチオのデカメロンですので、古いお話ですが、ロマン派の夭折詩人キーツが、恋愛詩にして、有名になりました。当時の画家達の「絵心」を刺激したのでしょう、ウィリアム・ハントなどがこの物語を描いています。
 物語は、シチリアが舞台で、富豪と結婚させようとしていた妹イザベラが、使用人のロレンツォと恋仲になったので、家長たる兄たちは、こっそりロレンツォを殺して野に埋めてしまいます。ところがイザベラは夢の中にあらわれた恋人の言葉から、真実を知り、死体の埋められている場所を探し当てます。
 そして、ここからがブキミなのですが、彼女は死せる恋人の首を切り離し、壺の中に埋めて持ち帰り、そこにバジルの種を撒きます。そして、夜毎、壺を抱きしめて涙を注いでいると、バジルは芽を出し、葉を出し、育って行きます。
 結局は、あまりにバジルの成長が早いので怪しんだ兄たちに見つかりますが、兄たちは犯行が露見するのを恐れて逃亡し、悲しんだ彼女は死んでしまう・・というのですが・・・・なんとも、気持ちの悪い物語ではありませんか。
 サロメといい、オルフェウスの首といい、このイザベラといい、世紀末には何故か、画家たちが「首」を好んで描きました。時代の不安・・でしょうか。
2008-02-06
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