入雲龍公孫勝

入雲龍公孫勝

 公孫勝なら、もうすでに出ています。毎度、毎度の水滸伝の「軍師」の一人。頭脳戦をモノにするという軍師ではなく、多分にマジシャン的な色彩の強い軍師です。
 むしろ妖術使いのような感じ。数々の難しい兵法書を読んで、理論で作戦を立てるという当たり前の「軍師」も、話を聞けば、わけのわからん言葉でぐちゃぐちゃいうのは、理解不能な庶民としては、道士とか仙人が唱える「呪文」も同列だったのでしょうね。理屈で生きる軍師とは対極にあるような妖術使いも「軍師」です。
 ところで、葛飾北斎デザインの屋台の上に載っている公孫勝の像が、最近修復できたということを書きましたが、これが元興寺の修理所でやったのだということを、ひょんなことから知りまして、衣装替え?をした、新しい公孫勝の色彩で描いてみました。
2012-06-11
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孫雪娥

孫雪我

 長年読んできた「金瓶梅」(わたなべまさこ 双葉文庫)がこの四月に完結しました。
 原作に、陰謀味、怪談味を加味して、独特の出会を作ってきましたが、このたび、いささか急ぎ足であったようですが、原作通り、稀代の好色漢西門慶は、淫薬を飲みすぎて死に、これまた反省なき悪女潘金蓮は、武松に惨殺されるという最後を遂げました。
 「金瓶梅」はご存じのとおり、水滸伝の武松仇討談の一部を大きく引き伸ばしてまったく別物の物語にしてしまったのですが、はじめと終わりは水滸伝の中にはめなくてはなりませんので、主人公の「悲惨な末路」は避けられません。
 で、わたなべ作品では、スポットのあたることの少ない(もちろん末路も取り上げられない)第4夫人の孫雪娥です。
 彼女は、西門亡き後の女たちの中では、かなりみじめな人。
 唯一の専制君主だった西門慶がいなくなれば、その寵姫など、正妻のもとでどんなめにあうかわからないのですから、それぞれ、身の振り方を決めなければならない。
 孫雪娥は、主家の小金を盗んで、下男と駆け落ちという、最も安易で単純な方法を選んでしまった。
 とっつかまって、奴隷身分に落とされて公売されるはめに。
 さらに貧乏くじなのは、彼女を落札したのが、かつて彼女の下にいた小娘春梅(軍人の家に買われ、主の子を産み正妻が死んだので、奥様に大出世。わたなべ版では春梅はとっても善人!)で、かつての意趣返しにいじめまくる。
 しかも次に女郎屋に叩き売られるという悲劇。そしてついに自死するという本位気の毒な女性です。
 まるぽちゃのおばちゃんキャラより、痩せてカリカリした女料理人というイメージで。
2011-06-08

翠翠

翠翠

 もうひとつ剪燈新話です(せんとうしんわ・・つまり明かりの穂先を剪って、まだまだ火をともして夜通し語る、興味深い新しい話・・という意味でしょう)。
 元の終わりごろ、劉という金持ちに翠翠という娘がいましたが、とても賢い子供なので、本人も勉強をしたがったので、両親は塾に通わせました。塾の同級生で金定という、これまた聡明な少年がいて、二人はよい友達になり、いつしか幼い恋に発展しましたが、彼女は強気で、「祝英台は、はっきりっ言わないからだめなのよ」と堂々としていました。
 年頃になって結婚話が出てきても、彼女は「金君じゃなきゃ、いや!」を押し通し、「でもあちらは貧乏だし、家柄もつりあわないし・・」などと言っていた両親も、ついに折れて二人はめでたく結ばれました。
 悲劇のドラマは、ここから始まります。幸せな新婚生活を送っていた二人ですが、地域が戦乱に巻き込まれ、翠翠は集落を襲った軍隊にさらわれ、李将軍という人の妾にされます。やがて戦乱が治まって、往来も出来るようになったので、夫の金定は、妻を捜す旅に出て大変な辛苦を舐めて放浪。そしてついに、羽振りのよい李将軍の元にいるという情報をつかみ、たづねて行き、「郷里の兄で、妹がこちらにいると聞いた」と名乗ります。
 単純でおおような軍人の李将軍は、二人を会わせてくれ、兄妹だと信じて「お前の妹は賢くて字が読めるが、その兄なら、字が書けるだろう」と、書記に雇います。
 以後、二人は同じ屋敷に住みながら、真実を明かせぬ苦しい生活。金定は、着物の衿の中に、詩文を縫いこみ、繕い物を妹に頼むということで、詩のやり取りをします。
 そうこうするうちに重い病にかかった金定は危篤になり、将軍のはからいで、病床にかけつけた翠翠の腕の中で死にます。
 以後、涙に暮れて、生きる希望を失くした翠翠も、後を追うように空しくなりますが、死に際に兄と並べて葬って欲しいという願いがかなえられ、二人の墓が並んでいる・・という悲劇です(う~ん・・同じ死ぬなら二人で駆け落ちするとか、イチかバチかをやってはどうか・・なんてのは、マンガチックで、あくまで真面目で良識のある二人なんでしょうね)。
 が・・これまた後日談があり、時が移り、明の時代になって、翠翠の家の番頭が旅の途中に、かつて李将軍がいたところを通りかかると、立派な屋敷があり、翠翠と金定が楽しげに暮らしていた・・というものです。牡丹灯記のように祟りをするでもなく、地獄に落とされることもなく・・・幸せになったのでしょうね。
2009-03-09

喬生と麗卿

牡丹灯記

伽婢子(おとぎぼうこ)が、牡丹灯篭の物語を定着させた・・ということなのですが、通ってくる女が、実は骸骨だったとか、お札を貼ると入ってこれないとか・・お露と新三郎の物語の基本が、中国の怪談集「剪燈新話(せんとうしんわ)」の中の牡丹灯記であるのは、言うまでもありません。
 日本での改作は、ストーリーはほとんど同じなのですが、原作の恐さは、旅の途中で死んで、お寺に預けっぱなしになっている女性の棺桶を見つけるところなんですね。
 これは、もうキョンシーの世界です。しかも、幽霊を拒絶するお札を誰かにはがされる・・あるいは自らはがすのではなく、もういいだろうと出かけて、外で幽霊に出会い、強引に寺に引っ張り込まれる・・と、そこで、喬生の消息は絶えるわけです。心配をした隣家の老人(彼が覗き見をして、骸骨の姿を見た人)が、もしやと、寺をおとづれると、棺桶の蓋が少しあいていて隙間から喬生の着物の裾がはみ出しているのです。
 ね・・怖いでしょう? 勿論、中には麗卿の死体と抱き合って死んでいる喬生がいます。
 で、中国版では、この話には後日談があって、二人は死んだ後にも、牡丹灯を持つ女中に先導させて、この辺りをうろうろと散歩するのです。
 このお化けカップルを目撃した人は重病になったり、死んだりするので、仙人が彼らを地獄の法廷に訴えて裁判にかけられ、鞭で打たれた上地獄に落とされる・・といういささか気の毒な結末になっています。
 死んで、あの世で幸せになるという選択肢はないわけですね。
「私と一緒になって、本当は後悔しているんでしょう?」
「そ・・・そんなことないよ。いつも一緒にいられるんだから、よ・・よろこんでるさ・・・。」
「ほんとかしら・・?」なんて、お化けになった二人は、そろそろ倦怠期・・という雰囲気が出ていますでしょうか?
2009-03-08

余忠

李忠

 京劇の題目にある「狸猫換太子」の物語は、名裁判官包公の物語と微妙にからまっていて、三侠五義(またです!)の第一回にあたりますが、宋の仁宗皇帝の波乱万丈の出生譚です。
 先代の真宗皇帝にはまだ世継ぎがなかったところ、李氏、劉氏の2人の妃がともに身ごもったので、皇帝陛下は、嬉しさのあまり、2人のうち太子を産んだもの(つまり先に男の子を産んだもの)を皇后にしよう、とのたまった。かくして劉、李の二妃の間にただならぬ火花が散るのは必定。男性はどうしてそういうことに気が回らないんでしょうね。
 先に産気づいたのは李妃ですが、あせった劉妃は、陰謀をめぐらし、この際、李妃を母子ともに葬り去ろうと計画。宦官や侍女を使って、あらかじめ猫!の死体の皮をはいだものを用意します。すわ赤子(勿論男の子)が生れ落ちるや、料理を運ぶ入れ物を使って猫と子供と入れ替え、あはれ李妃は「化け物を産んだ」ということで幽閉されてしまいますが、赤ん坊の皇子は「正義の」宦官と侍女の機転でこっそり逃れて八親王(皇帝の弟)の子供として育てられます。
 そして劉妃は、おくればせながらめでたく皇子を産み、皇后になり太子の母となりますが、この皇子が6歳で死んでしまうのです。そこで皇帝は、弟の八親王の三男が太子と同い年なので養子にして太子に立てます(これが李妃が産んだ皇子で、因果が巡るのですねえ。正義は必ず勝つのだ!と言っているみたいです)。
 ところがしかし、悪女はメゲない。劉皇后は、いまだ幽閉の李妃が自分に取って代わることを怖れ、彼女が帝を呪詛していると讒言。不幸の星の下に生まれたのか、ついに李氏は死を賜るのです。
 ここで、やっと余忠の登場。無実で、本当は太子の生母である李妃の境遇に同情した忠義の宦官が、またしても彼女を救う。若い宦官で李妃に瓜二つの余忠は身代わりに自死し、妃は宮中を脱出するのです。彼女が実子と再会してあだ討ちをするのは後の物語。
 しつこくあらすじを書きましたが、宦官といえば三国志の十常侍みたいにブキミな雰囲気と思いがちですが、この物語には、忠義で熱い正義の宦官が何人も出てきます。宮女たちとも連携プレーで闘うのです。これから身代わりに死ぬために女装をしている宦官余忠を描いてみました。男でも女でもない宦官は「容貌」で選ばれたといいますから、若い時は美女のようであったのでしょう。
 三侠五義は、平凡社の古典文学大系に入っていますが、あらすじや、山場を紹介しているサイトがありますので、興味のある方はのぞいて見て下さい。
 金鳥工房の簡明古典小説。
 三侠五義
2008-10-06
2008-10-06

丁兆蘭と丁兆蕙

丁兄弟

 またまた、三侠五義の登場人物ですみません。
 丁兆蘭・丁兆蕙の兄弟は双子で、展昭が南侠、欧陽春が北侠とよばれるのに対し、双侠と呼ばれて、三番目の侠客。
 松江府の茉花村を根拠地にする地元の顔役です。近隣の五鼠といわれる5人の義兄弟の侠客とは、別に縄張り争いをすることもなく共存していたけれど、五番目の鼠、白玉堂が展昭にちょっかいを出し、彼を助けに行った兄の兆蘭が、また玉堂に監禁されたりして、やや緊張状態に陥ったりもします。
 しかし、概して温厚な兄に対し、弟の兆蕙のほうが、外見に似合わず、やんちゃというか、乱暴者なのです。後に展昭の妻になる月華は、彼らの妹にあたります。
 ところで「三侠五義」が、「七侠五義」ともいわれるゆえんは、清末の学者が、「三侠とは、南侠、北侠、双侠だが、双侠は二人いるので4人になってしまう。このほかに活躍する三人を追加して7人としたほうがおさまりがいい」という理由で、勝手に小説の名前を変えてしまったからだそうです。
2008-10-05

公孫策

こうそんさく

 またしても、三侠五義の登場人物です。
 裁判官・・つまり都のお役人の包公には、彼をとりまく色々な「家来衆」である侠客がいるのですが、その中にあって一応「軍師」という立場の人が公孫策です。
 名前からして、神算鬼謀なお方です。水滸伝の神機軍師の公孫勝の姓であり、名前がいかにも策謀家みたいな策! 
 しかし、軍師でありながら、自説の解説がうるさい、物言いが横柄、カッコつけ・・あるいは、おかしなまじないを使う・・などのような才走った色合いが全くありません。しかも、外見も質素で地味。どちらかというと実直で、役に立つ有能な事務職といったところ。難儀な治水や、地道な、足でかせぐ調べものなど、何事もいやがらずにこなし、しかも気配りもバッチリ! こういう人が補佐にいればいいですねえ。花はないですけれど・・・。
 それにしても・・地味なおじさんになりました・・・。
2008-10-04

展昭

展昭

 「三侠五義」は包公が主人公、と昨日書きましたけれど、なにしろアクション小説ですから、裁判官である文系のお役人が主役では、ジミにすぎるので、(パっと法衣を肌脱ぎにすれば、そこはそれ桜吹雪か、中国だから唐獅子牡丹!・・では、名士である正規の公務員としては、あんまりだし、宋代の制服では脱ぎにくいので?)、市井に入って彼の手足の代わりを務めるのが、おかかえの「隠密剣士」(帯刀護衛などと書かれていますが)。
 その代表が御猫の展昭。まあ、途中からは、ほとんど彼が主役です。
 もともと自由きままに諸国をさすらう武侠なわけですが、その忍術?の技が帝の御目にとまり、「まるで朕の猫のようじゃ」とおっしゃって、御猫の名を賜った。
 正式に武官に任命されているので、一応公務員ですが、その「ネコ」のあだ名にライバル意識を燃やしたのが錦毛鼠(きんもうそ)白玉堂なわけで、彼を困らせ、とっ捕まえて閉じ込めたりするわけです。
 そういう軟弱?な面も、併せ持ち、また双子の美少年丁兄弟の美人の妹丁月華(これがまた腕がたつ)との一騎打ちで、耳飾を切り落として惚れられてしまったりとか、どちらかというと軟派系の武人なわけです。
 見てはいないのですが、テレビドラマの展昭(ケニー・ホー)のイメージで描いてみました。お役人なので衣冠をつけていますが、長い髪と緋色の紐がアクセント?です。
2008-09-30

包青天

青天

 京劇やテレビドラマでは、包青天は、大層有名です。
 名は包拯(ほうしょう)。青天は、青天の如く一点の曇りも無いというような美称というところしょうか。
 宋は、仁宗皇帝(水滸伝の浪費皇帝徽宗より4代前)の時代の人で、名裁判官として、昔からドラマがたくさんありました。日本の大岡裁きのエピソードにも、実はモトネタはこの人・・というのがあるそうです。
 この人が主人公となっている小説といえば、すぐ手にすることのできるのは「三侠五義」でしょうか。
 まだ見てはいないのですが、台湾のドラマなどでは、包公は、片腕として、おニャンコ剣士(その身軽さから、帝に御猫というあだ名を賜った)展昭と、軍師の公孫策(いかにもな名前ですが・・)と3人セットのようです。そして必ず、額に三日月(旗本退屈男か!?)の痣!
 包公のトレードマークにもなっています、この三日月の形の痣というのは、三侠五義には見当たらなかったようなんですが、京劇の隈取が、額に月ような文様を描くところからきているのではないかという説もあるそうで、詳しいことはまだ調べてみないとわかりません。
 そしてもうひとつは色黒!彼は、色が黒いので黒三郎と呼ばれた! これはもう、モトネタは水滸伝の宋江でしょうねえ。
 いかにパロディでも、一旦、姓名を与えられるとキャラは一人歩きしますので、宋江的なところは少しもない、いささかあざといくらいに任務に忠実な硬骨漢の「正義のお役人」ぶりです。まあ、もともと、ちゃんと難しい科挙の試験を受けて合格して裁判官?になっているのですから。
 で、もともとあった裁判ドラマの主役、文官の包公のまわりに、武ばった方面を担当する「義侠」を配したのが三侠五義ですが、正義?側の展昭より、やや斜にかまえた不良の白玉堂が人気者になるのは、なんとなくわかります。
2008-09-29

秦明

秦明

 昨日、ラ・イールのところで、霹靂火か・・なあんて言ってしまったので、霹靂火のあだ名を持つ秦明さんです・
 またまた水滸伝ですが、水滸関係者もけっこう増えてきましたね。この方も、あだ名が表すとおり、雷鳴のように大きな声と熱しやすい激情型の人なので、ある意味、まっすぐな人です。
 こういう人は単純明快ですので、信じやすい・・かどうかはわかりませんが、廬俊義同様、なにやら、宋江たちのあざとい策略にひっかかって梁山泊入りを余儀なくされた人です。
 廬俊義の場合、奥さんもそこそこワルでしたから、まあ、よいとしても、この方の奥さんなどは、殺されるいわれもなかったのに、宋江たちの陰謀の犠牲になって気の毒ですね。
 死んだ奥さんのかわり!ということで、花栄の妹をもらったのですが、これで満足だとしたら、秦明さんもひどいですねえ(花栄の妹だから、かなりな美人だった可能性はあるけれど・・・)・・というようなエピソードをいかに筋を通し、あるいは美化するかというのが、改作心を刺激する・・・それが水滸伝です。
 ラ・イールが手に木の葉を持ってなにやら憂いに沈む・・という図柄(ハートのジャック)なので、秦明さんにも木の枝を、と思って描いていると、パクっと食いつきました。
 手にする武器は狼牙棒という、鉄製のイガイガがあちこちから出ている、おっそろしくも奇怪な武器です。これを、晴天の霹靂のように、すぐカッとする人に振り回されたくありませんが・・・。
2008-06-02

張順

張淳

 イタリアものが続いていまして、しばらくぶりの東洋モノで、またまた水滸伝(これも、しつこいですね)。
 浪裡白跳(ろうりはくちょう)という、よく意味のわからんあだなの持ち主(昔、私は、白鯉跳浪と間違って覚えていて、白い鯉が波間に踊るんだとばっかり思っていました)張順です。
 漁師の元締めで舟に乗っているので、泳ぎが得意で、七日七夜もぐったままでいられる・・なんて、なんぼなんでも半漁人じゃああるまいし、それはないでしょうが、暴れだしたら誰も手がつけられない乱暴者の李逵を、水中に引き込んで気絶させたという武勇伝の持ち主(まあ、李逵は泳げないのですが・・)。
 当然活躍の場は水戦で、水にもぐって敵の水門を破りに行って壮絶な最後をとげますが、死後に川の神様になったという伝説は、まさにふさわしいでしょう。
 水滸伝上では、白い身体ということになっていて、刺青をしていたとの記載はないのですが、日本では歌川国芳が、総身に刺青をした姿に描き、絶大な人気者になりました。錦絵にも数々描かれ、月岡芳年の迫力ある水中の絵も有名でありますが、近くはねぶたの絵にもなっています。
 しかし、ここはまあ、原典に戻って、刺青のない背中で描いてみました。
2008-04-23

関勝

関勝

 関羽雲長ではないのか・・・というお疑いも最もですが、これは、水滸伝大刀関勝さんです(関羽さんについては、あれこれがありますが、ファンの方ごめんしてね・・)。
 水滸伝キャラの変貌については、面白いことが一杯あるのですが、関勝さんは、水滸伝上の設定では、関羽の子孫ということになっていて、当然風貌もご先祖に似ています。
 なにしろ108人という大人数を登場させたからには、和歌で言う本歌取りのように、そのイメージをすぐに思い描けるように、人気キャラ満載の三国志の登場人物を「本歌取り」している人物がいます。、その名も美髯公朱同や、小温公呂方(勿論、呂布の本歌取り)、ええ加減につけたような孔明、孔亮の兄弟。名前というより、スタイルそのものが諸葛孔明の呉用など。
 この関勝さんは、一番古い宋代の「宋江三十六賛」という反逆仲間リストでは、何と第4番目! この第4番目というのが、いかに上位ランクかということは楊志のところで述べましたが、先祖の七光り?かどうか、とても重要人物で、現在の水滸伝でも第5番目の高ランクを保っています。もちろん獲物は偃月青竜刀。
 水滸伝普及推進サイト酔虎寨は、硬軟とりませた、ありとあらゆる水滸伝に関する濃密なサイトです。寨内地図から入っていただくとわかりやすいです。「王定六之酒肆」はかなり笑えます。
2008-04-05

晁蓋

ちょうがい

 上杉謙信つながりで、フェリペ2世にするか、この人にするか悩みましたが、今日は鉄天王晁蓋(てつてんのうちょうがい)です。
 彼は、完成した水滸伝108人の中に入ってはいませんが、そもそもの大親分と言ってもいい人物。なにしろ梁山泊に108人がそろうまでに、戦死してしまったので、山塞を守る背後霊いや守護霊となった「超大物」・・ということになっていて、そのあだ名も、軍神である毘沙門天の中国的変貌の托塔李天王にちなむものです(で、まあ、苦しいながらも謙信つながり・・? フェリペ2世は次回出します)。
 出自は在地の大旦那というか地元の顔役でしたが、蔡京への付け届けの荷物を奪ってお尋ねものになり、梁山泊へ逃げ込み、首領の王倫を殺して山を乗っ取っとってしまうという・・本当にコワイ人ですね。
 彼の子分に、身体に刺青をした漁師の阮三兄弟がいて、本来の「水溜りの盗人」の性格を持っているかもしれません。彼自身も刺青があった・・という古い伝承からも、漁労関係の親分ではないかと推測されているようです。
2008-03-02

笵進

笵進

儒林外史という小説があります。
 延々と、官吏登用試験である科挙をめぐる・・というか、科挙を受けて苦労をする浪人たちの日常の悲喜劇でつづられます。その中に登場する貧乏書生の一人が范進です。
 二十歳の頃から二十数回の落第にもめげず、五十代半ばだというのに三十才と年齢を偽って受験を続けますが、地味な文章のために合格しませんが、ある時、彼のあまりな惨めったらしさ(帽子は破れ、髪は胡麻塩、皮膚にはりがなく、しょぼしょぼした目つき、よれよれの着物の裾からは、ほつれた糸くずがぶらさがっている)に、深く同情した試験官が詳細に彼の答案を読むと、天下の名文だと知り、主席合格します。
 その後の上級試験を借金をして受けたのだけれど、妻の父親が怒りまくって、下級試験でも合格すれば学校の教師にはなれるのだから、早く就職して金を稼げと怒鳴ります。なにしろ30年以上も無職の婿にガマンの限界・・。仕方なく市場に、唯一の財産であるやせこけた鶏を売りに行くのですが・・・合格の速報が届き、てんやわんや。そしてあっという間に名士の仲間入り、お金を用立ててくれる人もあり、今までの生活とは雲泥の差。あまりの変貌ぶりについていけない老母は、上等の衣服や家も「これは借り物だから汚してはいけません」などと受け付けず、嫁から自分達の物ですよと知らされてとたんにショックのあまり心臓が止まってしまう・・という皮肉な結末。これは親孝行になったのか・・?
 原作では、その後、試験官になりますが、お芝居では、思うところあって世を捨てる・・という結末になっているそうです。
2008-02-29 

閻婆惜

閻婆惜

 閻婆惜(えんばしゃく)は、その名前の字面からして、現代ではあまり美しくないうえに、性悪女の典型とされています。 
 もちろんかの水滸伝108人の総帥宋江が、罪人として追われるきっかけになった女性。
 本編の設定では、宋江は、「あまり乗り気はしないものの」、「不幸な身の上を哀れんで」妾として囲っていた女ですが、彼女は「風采の上がらない」宋江を嫌って、美男の趙三郎と浮気をし、宋江の「大事な書類」を盗んで隠し、イジワルをしたので、「はずみで」殺してしまった・・ということになっていますが、読んでいてもなんとなく釈然としない。
 それは、多分、宋江の犯罪の言い訳がましすぎるからでしょうね。実態(というかモデルになった物語)はもっとスッキリしていたようです。
 宋代の実在の名妓に李師師、徐婆惜と並び証されている女性がいますが、水滸伝では、李師師は、言うまでもなく、皇帝の愛人で、梁山泊を仲立ちしたとされている名妓なので、梁山泊側の宋江にもきれいどころを・・という発想で持ってきたかもしれません。しかし、哀しいかな無粋な宋江は、モテません。「好漢」はそれでいいんだよ!と居直ったみたいですが、はたしてそうか? 
 もし、閻婆惜が有名な売れっ子芸妓であったとしたら(婆惜というのは、妓楼の女主人たる婆(やり手婆)が惜しむ・・つまり、女将の秘蔵っ子という意味ではないでしょうか?)、宋江が囲っていたのではなく、客として、美形で色白な趙三郎(白三郎)にしてやられた、チビで色黒の黒三郎の宋江(彼は宋三郎です)を、コケにして笑う喜劇ではないのか・・?
 そういう話は、佐竹靖彦「梁山泊」(中公新書)に出ています。
2008-02-27

楊志

楊志

 青面獣楊志は、水滸伝108人の中でも、先祖の七光りと苦悩を背負っている人物とされています。
 建国の功臣楊令公の子孫であり、先祖からの悲劇性(ご先祖も壮絶な人生で、捕虜となった時に自ら餓死したとされています)を受け継いでいて、実力はあるのに認められず、不遇の人生・・そういうのに、そそられるのか、顔に青い痣があるというのもよいのか、けっこうファンの多いキャラクターです。
 天罡36星のメンバーは、時代によって序列が入れ替わっており、その経過をたどることによって、成立事情の研究がなされているのですが、水滸伝の原始形である「大宋宣和遺事」では、楊志は4番目になっていて(つまりは、宋江、廬俊義、呉用の3頭領の次なので、実質上第1位の好漢)トップクラス。
 これは、楊家将故事という物語が、当時人気であり、その世界からの登場人物として水滸伝に取り入れられた可能性があるようです。そして同じ物語の中から呼延灼も入ってきたのでしょう。いわば、ウルトラマンシリーズの中に仮面ライダーのキャラが入るというような感じでしょうか?
 だから水滸伝が一人歩きする現行のストーリーが出来た時、彼の順位は下がって、17番目なのですね。まあ、本当にど真ん中ですので、ええ加減な場所ですかね。彼もまた、結果的には梁山泊の幹部達のあくどい策略で、職を失い、叛逆世界に足を踏み入れる気の毒な人ですが・・。
 キャラクターとしては、やっぱり、くら~い兄ちゃん・・という感じですかね。
2008-02-25

王倫

王倫

 水滸伝ネタが続きますが、王倫はいわゆる敵役ではないけれど、小物悪人・・ということになっています。
 初代梁山泊の総帥で、誰よりもインテリなのだけれど、あまり人望のない頭領だったので、惨めに殺される役柄。
 もともと、天下に叛逆する男伊達を集めて、難攻不落の梁山泊を半ば独立した山塞に仕立てたのは、実は彼です。
 しかし、天下に叛逆するそもそもの理由が、何度受けても科挙に合格しなかった・・というのが原因だし、気が小さいし、嫉妬深い・・などという性格も禍して、身を寄せてきた林冲をぐじぐじ苛めていたのですが、晁蓋一行が、官憲に追われてやってきた時に、運命がつきた。
 仲間から浮き上がっているうえに、林冲と敵対しているということを晁蓋らに見抜かれ、いかがわしい策略ならお手の物の呉用が林冲をあおって、あわれ王倫は殺されてしまい、苦労して?築いてきた山塞は、部下もろとも乗っ取られてしまうのです。気の毒ですね。
2008-02-15

史進

史進

 久々の中華、九紋竜史進です。
 水滸伝108人のうち、早い段階で華々しく登場する若き英雄ですが、梁山泊の仲間入りをしてからは、埋没してしまって、最後には、敵方の弓の名手の的になって殺されるという・・・あまり活躍の場のない人物。
 しかし、身体に九匹の竜の刺青をした若者ということで「絵になる」ので、粋好みの江戸時代に人気がありました。数々の錦絵にもなり、ねぶたにもその華やかな刺青姿のものがあります。
 まことに私事ですが、20年ほど前に、血統書つきの秋田犬を飼っておりまして、この犬の祖父犬が九紋竜という名前の見事な虎毛の秋田犬で、雑誌(勿論、秋田犬の本です)にまで載るほどの名犬でしたので、なにやら親しみがあります。ま・・水滸伝とは関係ないですが・・。
 紫色の刺青の発色はあまりないだろうとは思いますが、九匹の竜なら九星術の色がはいってもいいかなという思い付きです。 
2008-02-14

孫二娘と張青

孫二娘と張青

 久々の水滸伝ネタです。
 108人の英雄は、天罡星36、地煞星72に別けられますが、まあ、ああいう男の世界ですから、女性の英雄は、天罡組にははいっていません。しかし、女剣劇(?)も根強い人気があるので、腕の立つお姉さんも出番がほしいでしょう。
 で、一番有名なのは、いうまでもなく「美人」の扈三娘ですが、この人肉饅頭屋のおかみ、孫二娘もなかなかのおねえさんです。
 キノトロープの君子イラストでは、孫二娘はスタイル抜群のものすごく色っぽい美人ですが、どうも私は「腕が太く、腰がどっしり」で滅法腕力があるってことで、こういう太めキャラのイメージをずっと抱いていました(太目の女性が色気がないなんて、そんなことないですよね)。なにしろ、魯智深や、武松を「人肉饅頭」にしようとしたくらいですから。
 この人は最初から亭主もちで、ダンナは張青という、これまた裏世界の男伊達ですが、料理屋をやっている奥さんが、餅(パスタ)をこねる後ろで、山芋だか、ごぼうだかの皮をむいて手伝っているっていうのも、ありじゃないです?
2007-12-07

東方不敗

toho

 先日から中国の異装の男女を取り上げてきていますが、日記にも書いてあるとおり、「楊貴妃になりたかった男たち」を読んだがために、このような人物を描きたくなったのですが、、「笑傲江湖」という金庸の武侠小説に登場する東方不敗は、最強の女装(!?)男ではないでしょうか。
 禁断の奥義をきわめるために、自ら去勢して、この世のものとも思えない必殺技を会得する最強の悪役ですが、香港映画ではブリジッド・リンが華麗なる男役?を演じていて、まあ、これがトンデモなアクションもの(スウォーズマン・女神伝説。ちなみに主役はジェット・リーです)でしたが、好きな方は好きなのですねえ。
 衣装も派手で、日本の稚児装束?のようなものを着ているかと思うと、愛人(女です!当然)は花魁のようだったり、部下は忍者か倭寇かという時代考証も地域考証もできないのけれど海賊(湖賊か?)の親分のようでした(続編ではなんと無敵艦隊!と対戦するそうです。むむむ・・・)。
 この映画が面白かったからか、「東方不敗」という名前だけが一人歩きし、全く別のキャラクターとしてアニメ世界でも派生しているようですが、ある意味、中国男の女装がきわまったかたちではないかと思っております。
 和風?の女装男にしてみました。
2007-10-07

祝英台

祝英台

祝英台と梁山伯(水滸伝の泥棒のアジトとちゃいまっせ。人名です)といえば、中国では有名な悲恋物語です。
 この祝英台が女性ですが、彼女は、どうしても学問がしたいために学塾に入学しようとしますが、女の学問が認められていない時代のこと、男装して学生になります。
 その学塾で梁山伯と知り合い、彼女は恋におちてしまうですね。
ところが、梁山伯のほうは、女だとは夢に思っていないので、親切に弟のように接する。これはまあ、女だということを隠している身としてはつらいでしょうねえ。
結局、彼女は両親の元に帰ってしまいますが、分かれる間際に女性と知った梁山伯は、祝家に追いかけてゆき、結婚を申し込むのですが、身分違いと断られて失意のあまり死んでしまい、祝英台のほうは無理やりお嫁に行かされる。
花嫁行列の途中に、どうしても梁山伯の墓参りをしたいと駕篭を止めて、降りるのですが、そのとき、墓が割れて?!、彼女を飲み込んでしまう・・このラストがドラマチックというか荒唐無稽というか・・・スゴイですねえ。
 皇なつきさんのマンガがあるのですが、このラストを、そのままにこなしています。
 時代設定は不明確なのですが、6世紀や唐代には成立していたようなので、唐風で・・。
2007-10-05

慧娘と玉郎

とりかえばや兄妹中華

慧娘と玉郎(けいじょうとぎょくろう)は、「今古奇観」という通俗小説集に登場するカップルです。
 もともと、慧娘の兄と、玉郎の姉が婚約していて、花婿の兄が病にかかります。重態になった息子を、美しい花嫁を見せて少しでも元気にさせてやろうと、祝言を急がせる婿の両親。しかし、明日をもしれぬ重病人に娘を嫁がせて、みすみす未亡人にしてしまうのもいやな花嫁の親。
 そこで、花嫁の母は、奇策を思いつきます。
姉娘とよく似た16歳の息子を女装させて嫁として送り込み、ついでに婿の病状を偵察させることにします。かくして、玉郎は、化粧して髪を結い、花嫁衣裳を着て輿入れします。婿方の両親は、美しい花嫁に大満足。
しかし、重態の息子は初夜の床どころではないので、花嫁の寝室に、妹の慧娘をやって「お義姉さんを不安がらせないように、よくもてなしておいで」と諭します。
 花嫁に興味深々だった慧娘は大喜びで、同じベッドに腰掛けて、気安く話しかけ、挙句には「お義姉さまは、肩幅ががっちりしていらっしゃるわね。まあ、なんだかお胸が扁平だわね」などと身体に触れたりしているうちに・・・(まあ、玉郎は、本人の好みで女装しているわけではないので)二人、なるようになってしまったわけです。
 そこで、ドタバタがあって、結局、病気の治った兄と本当の婚約者の姉が結婚し、弟と妹も結婚をするというダブルウェディングで、めでたしめでたし・・・? とりかえばや物語の「男君」ような物語です。
2007-10-04

冥界の軍(いくさ)

冥界の軍

 今日は特定の人物ではなくて、「幽霊の軍勢」です。捜神後記にのっている「怪談」。一度「座乱読ーザランドックー」の東方奇談に出したものですが、西晋の頃、深夜になると村はずれの山の上のほうで剣戟の響きや火の手が見え、夜盗ではないかと恐れおののいていたところ、朝になってその山に登ってみると、いつのいくさのものともしれぬ白骨が累々。
 死して後までも、夜毎、戦い続けなければならぬ・・なんて哀しいですね。
2007-06-30

任氏

ニンシ

唐代伝奇小説に「任氏の物語」というのがあります。この小説のヒロインが任氏です。
 苗字だけとは味もそっけもないのですが、まあ昔の中国の女性の立場は、家の名前だけで、だれだれの妻は某氏・・というのはよくあります。
 さて、長安の都に皇族のお姫様の息子で、裕福な遊び人韋崟という人がいました。彼の遠縁で、貧乏な鄭という男が、町で任氏を見初め、世話をしたいので、金持ちの韋崟に頼ります。このへん、ちょっと納得がいかない設定です。お金がないのに、女性を囲いたくて(彼には妻がいます!)金持ちの親戚に無心する。それを、まあ、当時の男の甲斐性でしょうか、崟は金を貸してやるけれど、本心はバカにしているのか「あのサエない奴がどんな女を?」と興味をもってのぞきに行く。
 すると絶世の美女。これは気に入ったとばかりに、プレイボーイの面目にかけて、自分が迫りますが、任氏に「あなたのような人ならどんな美姫でも思うままでしょうが、鄭さんはあんなだから、私がいてあげないと・・」と拒絶されます。これを聞いて崟は、義侠心を起こし、任氏を気に入って、2人はプラトニックな友人になります。そればかりか、彼女を恋人のように大切にし、身の回り物や着物を買ってやったり、訪ねて食事をしたり、彼女も崟に甘え、頼りあうという不思議な関係になります。
 結局、彼女は鄭の不注意で命を落とし、実は人間ではなくキツネの精だったといくことが明らかになるのですが、崟は嘆き悲しむ・・という物語です。
2007-04-26

林之洋

林之洋

 これで、一応おしまいにしますが、鏡花縁の登場人物です。
 林之洋は、船主なので、自前の船を仕立てて手広く貿易商(臨機応変の商売人です)を営んでいます。
 なかなかに豪快な人物で、しゃちほこばった学者の理屈などを笑い飛ばす、ちょっとした親分肌の伊達男です。
 その彼が、女児国(女ばかりがいるアマゾネスや、女御ケ島ではなく、ちゃんと男もいますが、この国では、女が政治や商売をやり、男は家庭にこもって炊事や育児をし、ひげづらに化粧をして着飾っています)の国王(当然女です)に見初められてしまいます。
 「男なのにそんな女のなりをして商売をするのはつらかろう」と、同情され、ぜひに妃にしようと言い出す始末。驚いた林之洋がいかに抗弁しようと、強引な国王は、悪代官のようにスケベったらしく笑い「悪いようにはせぬ」と、女官(屈強な男です)に命じて、宮中の楼閣に閉じ込めます。あわれ林之洋は、男の「女官」たちに身ぐるみはがされて衣服を変え、化粧をされ、挙句に羽交い絞めにされて耳に孔を空けられてピアス。そして、何と、足の指を折り曲げられて縛り上げ、纏足までされるという大災難。
 なにしろ「女官」たちは大男ばかりで、とても力が強い。あまりの痛さにこっそり纏足を解くと、裸にむかれて鞭で叩かれる。連日エライ目にあわされて、すっかりなよっとして麗しい、立派なこの国の「男」にされてしまい、国王は大満足で、「余の目に狂いない。まことよい男になったわ。明日は床入りじゃ」の大ピンチ。
 危機一発。仲間に背負われて脱出。なんとか難を免れるのでした。
2007-04-08

紅薇と紫萱

黒歯国の才女

 彼女たちは鏡花縁に登場する、黒歯国の女学生です。
 この小説は、ほとんどは退屈な諸国めぐりなのですが、作者の視点に、ちょっと他の中国の小説にない角度で、女性の扱いがあらわれています。
 そもそもの始まりが仙女たちの争いから起って、百花仙子が俗界に流され、地上に散らばった花の精たちを集めてゆく物語なので、次々と百人の花の精の生まれ変わりが登場するので、しっかりした女の子が一杯出てきます。
 この紅薇と紫萱は、ともに学塾で学ぶ学生ですが、主人公の一行の智恵袋多九公が、たかが女の子じゃと見くびって学問論争をしかけ、博学多識で舌鋒凄まじい2人に、こてんこてんにやっつけられてしまう、いわば痛快なところで、当然、このような才女は百花の生まれ変わりです。
 しかも、この黒歯国の住人は、肌が真っ黒ですが、眉と唇が赤く、赤系統の衣装を着けているので、色の対比がくっきりしていて、顔つきが知性的でとても美しいそうです。原作には髪の色は書いていませんが、赤い眉というところで、髪も赤くしてみました。彼女達も試験を目指しているという設定なので、背景は科挙の答案です。
 
2007-04-07

百花仙子

百花仙子

  「鏡花縁」という小説があります。ガリバー旅行記に比較されて「面白くない」と決め付けられたりするような(気の毒な)異国めぐりの小説ですが、部分的に面白いところ以外はほとんど紹介されることもありません。
 しかし、そもそも、この物語の主人公が、船に乗って異国を彷徨うハメになる理由は、天界から追放された百人の花の精(もちろん皆、麗しい女仙)を探す為ですが(地上に散らばった魔が集まる水滸伝のアイデアと一緒ですが、花の乙女と言うところで、本当は美しい物語になるはずなのですが)、まあ、冗長な解説がくだくだしく、盛り上がりに欠け、・・正直言って退屈です。しかし設定はとても面白い。
 蓬莱山に住む仙女の百花仙子が、西王母の宴会に出かけ、そこで百鳥大仙や百獣大仙が、余興に鳥や獣を歌わせ舞わせたので、嫦娥が彼女に百花を一斉に咲かせて見せろといいます。「花はそれぞれの季節に咲くもので、戯れに時節をたがえてはいけない」と拒み、ほかの仙女たちとも口論になり「もしも百花が一斉に咲くようなことになれば下界に下ろう」などと口走り、気まずい雰囲気になります。
 時は移って、女皇帝の武則天が、酒に酔って『全ての花よ咲け」と命令します。丁度その時、出かけていて不在だった百花仙子のところに「皇帝の命令」が届き、慌てふためいた百花たちが、時刻は迫る、主はいないで、結局咲いてしまいました。そして、彼女は罪を得て、地上に追放されるのです。
 本来は時代を超越している仙界の住人なのですが、武則天の頃ということで、唐代風に描いてみました。
2007-04-06

李俊

李俊

 この人は水軍の親分ということで、勿論水滸伝本編にも登場しますが、水滸後伝では、みんなの統領になり、ついには一国の王様にまでなってしまうという、なんともスケールの大きな「海賊(湖賊というべきか)」です。
 そして彼が王国をたてるところは、架空の存在でも位置的に見て台湾あたりか・・と推測されるので、実際に台湾に半独立国家を作った鄭成功などの諸事情を作者が知って、取り入れたかどうかは微妙なところですが、このドラマの海域では日本人が登場し(その名も関白!ーただ、豊臣秀吉がモデルというのではなく、官命の関白を関羽とか関勝のように人名ととらえて使ったかも)、船の底に穴を開ける日本の忍者部隊なども登場します。
 とにかく彼は、唯一、日本の忍者と戦った水滸伝の英雄なのです。
2007-03-19

燕青

燕青

 水滸伝本編でも、かなりな人気「役者」ですが、彼は主の廬俊義が死んだあとでも生き延び、「水滸後伝」では、唯一と言っていいほどの人気キャラの生き残りなので、色々な活躍をします。ここにきて、この一見優男が、女性にもてて腕も立つし、歌って踊れる?!というだけではなく、語学の才能もあり、金語を自由に扱えるということも判明。
 李俊と合流するまで、陸で戦う梁山泊の生き残りたちの行動派軍師として活躍。自在に変装し、自ら偵察も引き受けますが、だんだん呉用のようなエグイ作戦もたてるように成長?します。
 後伝は軍師は、水軍のほうの楽和とともに、二人とも歌える「芸能人」ですね。
2007-03-18

板橋の三娘子

板橋の三娘子

 板橋の三人娘ではありません。はんきょうのさんじょうし。唐代伝奇物語の一つで、昔、教科書にも載っていたことがあるので、かなり有名な物語です。
 三十過ぎの女一人が旅人宿をやっていて、ちょっとした食事を出し、また驢馬を沢山飼っていて、旅人に安くて売るので評判でした。
 ある時、泊り客の一人が眠れぬままに、つい三娘子の部屋を覗き込み、彼女が小さな木彫りの牛と人間を使って、畑を耕し不思議な作物を収穫して、焼餅(シャオピン)を作っているのを目撃します。あまりの不思議に、朝食をせぬまま旅立ち、こっそりと様子を伺っていると、何も知らずに焼餅を食べた客たちは皆驢馬になってしまいます。
 この男は、帰りに策を用いて彼女自身に焼餅を食べさせることに成功して驢馬にして乗り回すのですが、仙人に出会って魔法を解かれて逃げて行きます。
 実はこの物語とほとんど同じ趣向のお話が、アラビアンナイトの「バドルバートムの物語」にあります。しかも、他の骨組みはかなり、オデュッセイアのキルケの物語にもとても似ているのです。
 ま、それがどーした・・ってなもんですが。
2007-03-15
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歴史上の人物を沢山描きたい・・。
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